ところで、あなたには『自分を信じる力』はありますか?
そしてもしあるとすれば、いつ頃から、どのような形で
その力が芽生えたと思いますか?
私は私塾で勉強を教えていたことがあります。
小さな個人塾でしたので、生徒との心の距離は密接でした。
私が一人で全ての科目を担当していましたので
生徒の得意・不得意もすべて把握しているような
「平成の寺子屋」といった感のある私塾でした。
塾に来て勉強をする子の中には、
勉強好きな子ばかりではなく、
勉強に対する劣等感を抱えてもがいている子もいましたし
親からの過剰な期待を持て余し、自暴自棄になっている子
もいました。
でも、幸いなことにどの生徒もスピードの差こそあれ
学ぶことの楽しさを知り、自分への自信を身につけてくれました。
彼らの心に「自分を信じる力」を持たせるために私がした事。
それは、まさにこのお母さんが息子さんに対して
『お前は素晴らしい』と言い続けたことと、同じ事でした。
日本人には「謙譲の美徳」という古き良き伝統があります。
自分の贈り物に「ささやかですが・・」「つまらない物・・」
身内の紹介にも「愚妻」「愚息」と
卑下する言葉が存在します。
塾生のお母さんの多くも例に漏れず、ご自分の子供を
「自慢」するより「卑下」する人が圧倒的でした。
そんな過小評価を信じてしまっている子供に
「君にはこんな素晴らしい所がある」と事ある毎に誉め
「先生はあなたのこんな所が大好き」と言い
「よく頑張ったね」と良い結果には必ず握手をしました。
そして、「親御さんは、あなたたちを愛しているんだよ」と
心からの言葉で、本気の気持ちで伝えていました。
そうすることで、子供たちは自分の存在意義を確かめ
少しずつ「自分に自信を持つ」ようになれました。
最初は反抗的で、「どうなることか・・」と不安を感じた子でも
いえ、そういう子こそ、心根が温かい人間であることを
実感したことが何度もあります。
勉強に自信が持てなくて、教室での居場所が見当たらない子には
運動会で見かけた徒競走の生き生きした姿を褒めましたし、
鳩の死骸を引き取って自宅近くに埋めてくれた優しさを褒めましたし、
クリスマス会の準備を率先してやってくれる実行力を褒めましたし、
いつもニコニコして雰囲気を和らげてくれる癒し力を褒めましたし、
塾に来るときのファッションセンスの良さを褒めましたし、
もうとにかく、なにがなんでも(笑)心を込めて、褒めました!!
『お前は素晴らしいから』と言い続けられ、自分を信じられる人は
誰がなんと言おうと『素晴らしい人である』に違いない。
感謝の原点は『生んでくれてありがとう!』
今日も読んで頂き、ありがとうございます。

コメント